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日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”/山田昭男

未来工業は、岐阜県の電気設備メーカーです。昭和40年創業で、社員数は780名、全国に約40箇所の拠点を持ちます。売上高は約200億円(2010年度)で、名証に上場しています。

未来工業は、定年70歳、応募順の採用、ホウレンソウ禁止など、ユニークな経営方針が様々なメディアで紹介されています。
本書は、未来工業の創立者である山田昭男氏が、ユニークな経営方針を採用した経緯や経営哲学を語ったものです。

山田氏が会社を経営する上で一番重要と考えているのが、ほかの会社のマネをしないということです。一般的な感覚だとマネをしないということは、「独自の製品を独自の手法」でとなりますが、山田氏の言うマネをしないというのは、経営方法をマネしないという意味です。

ほかの会社と違うことをする

山田氏曰く「会社が儲からないのは、儲かるようにやっていないから」。では、儲かる方法は何かというと、「儲かっていない会社と違うこと」をすることになるのです。

「儲かっていない会社と違うこと実施する」の具体例として

  • 改善提案を提出すると無条件で500円を支給
  • 残業禁止(16時45分終業)
  • ホウレンソウ禁止(自分で判断、自分で実施、スピード優先)
  • 採用は現場担当者任せ
  • 制服は自由
  • 70歳定年
  • 休日は年間140日(有給を除く)
  • 採用は全員が正社員
  • 営業のノルマはなし
  • 徹底的なコスト低減(得た利益は社員に還元)
  • 問い合わせの電話に担当営業は受信禁止(電話受付の業務の女性が回答)

等を実施しています。

無謀とも思える施策を実施する理由は、「働く社員の幸福感が最も重要で、働く社員が幸せな会社は必ず儲かる」という山田氏の理念からです。幸せな社員は会社に貢献し、その結果会社が儲かる。そして、儲かったお金を社員に還元するという、好循環スパイラルが未来工業の強さなのです。

どうやって儲けるのか?

労働日数が少なく、人件費比率も高いと思われる未来工業。さぞかし高収益を誇る技術を持っているのかと思いがちですが、山田氏は「うちには技術がない」と語ります。また、未来工業は一切の安売りを行いません。

では、どうやって収益を上げるのか?それは、徹底的な差別化です。
未来工業は電気設備製品の製造メーカーです。顧客の多くは建設業の職人さん。彼らが指名買いをしてくれるほど便利な製品を作れば、リピート商品となり大きな収益源になります。

職人さんに「便利だ」、「欲しくなる」という工夫を商品に取り込んだのです。

  1. 簡単に作業できること
  2. 早く作業できること
  3. 上手に作業できること
  4. やすく作業できること
  5. 見た目がいいこと

差別化は、最先端の技術の上にあるわけではなく、ユーザーの気持ちの上にあります。最先端の技術がなくても、差別化商品を作り出すことはなのなのです。

そのため、未来工業では、改善提案制度を採用し、改善提案を提出した社員には、無条件で500円を支給します。これは、社員に「常に考える」ことを推奨しているからです。「常に考える」姿勢が他社との差別化商品を生み出す土壌を作り出します。

当たり前のことをなぜ実施できないのか?

あとがきで山田氏は、自身が会社運営で大切だと思う4つの事柄を語ります。

本文の中でも言ったが、未来工業の取り組みの中で真似ができるところがあったら、恐れずに実行してみてほしい。
やってみてダメならすぐに元に戻せばいい。止めるときの決断も遅くなってはいけない。パッと止めることができれば、即始めることもできる。
常に考える―――。
他人と差別化する―――。
いいと思ったことは恐れずに実行に移す―――。
ダメと思ったらすぐに戻す―――。
つらつらと書き綴ってきたなかでいちばん忘れてほしくないことを挙げるとすれば。そんなところだ。

「考える」、「差別化する」、「すぐに実行」は、本書に限らず多くのビジネス書に書かれていることです。なぜこれができないのか?日本社会の奥底に、この答えが隠れている気がしてなりません。

目次
  • はじめに 未来工業が”日本一社員が幸せな会社”になった理由
  • 第1章 常に考える。必ず差別化する
  • 第2章 社員に任せろ。社長はバカと自覚せよ
  • 第3章 ”餅”を配ればモチベーションが上がる
  • 第4章 「いいモノを安く」が日本企業をダメにする
  • 第5章 利益を生む小さな倹約、社員が喜ぶ大きな消費
  • 第6章 社員がしあわせなら会社は儲かる
  • あとがき