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日本でいちばん大切にしたい会社3/坂本光司

会社には大切にしなければならない5人のひとがいます。この5人の人々を大切にする優先順位を間違ってはいけません。

  1. 社員とその家族
  2. 社外社員とその家族
  3. 現在顧客と未来顧客
  4. 障害者や高齢者などの社会的弱者
  5. 出資者支援者

この定義は「日本でいちばん大切にしたい会社」として認定されるための条件です。

「日本でいちばん大切にしたい会社3」はタイトルの通り「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズの3作目です。

著者は法政大学教授の坂本光司先生。
坂本先生が何度も現地取材を重ね、経営者から直接、経営理念や会社の生い立ちをインタビューしたものを書籍化しています。

過去の書籍で紹介された会社は、日本理化学工業伊那食品工業、未来工業、中村ブレイスなどを筆頭に社会的にも大きな話題となりました。

シリーズの3作目となる本書では次の7社が紹介されています。

  1. 徳武産業(香川県さぬき市)
  2. 中央タクシー(長野県長野市
  3. 日本レーザー(東京都新宿区)
  4. ラグーナ出版(鹿児島県鹿児島市
  5. 大谷(新潟県新潟市
  6. 島根電工(島根県松江市
  7. 清月記(宮城県仙台市

本書で紹介される会社は、戦後日本が重要視してきた、売り上げ重視、成長重視ではありません。地域に根ざし、従業員と経営者が手を取り、取引先と地域の反映を目指し活動します。

本書の中で特に印象的だった3社を心を打たれた文章の引用を中心に以下に紹介します。

徳武産業(香川県さぬき市)

障害者や高齢者専用のシューズを制作、販売している会社です。
靴業界での常識を破り、左右別々のサイズを販売やカラフルな障害者用シューズの制作を行っています。

「いくらいい商品でも、お客の支払能力を超えた値段では意味がないのです。徳武産業のあくまでもお客に寄り添う経営方針が、人の心を動かさないはずがありません。」

「不良を公表したり、製品事故にトップが駆けつけたりすると「信用不安を招くのではないか」という声もあります。しかし、十河社長のように、即公表、即実行する勇気は経営の王道と思います。」

「そのお年寄りにとってピンクの靴は、ただの靴なのだろうか?わたしは違うと思います。その靴はお年寄りにとって、夢を実現する、人生そのものを変えるとても大きい役割をはたしているのです。」

中央タクシー(長野県長野市

利用者である顧客の都合を最優先に考えるタクシー会社です。
長野オリンピック時もマスコミの専属契約を断り、予約顧客最優先で配車しました。

「失礼ながらお世辞にもきれいとはいえないこの本社プレハブで、タクシーの配車の手配、無線での応答がされているのです。わたしのよく言う「よい会社の条件」である、本社(本社機能)は小さければ小さいほどよい、というお手本のような会社でした。」

「乗務員が「社長、オリンピックで貸し切り車ばかりのなか、いつもわが社をご利用いただくおじいさんやおばあさんはどうされるんでしょうか?病院や買い物へは、どうやって出かけるのでしょうね?」と言ったのです。雷に打たれるとはまさにこのことです。20年にわたって「お客様主義」を貫いていたはずなのに、わたしにはまだ本当にはわかっていなかったんです。」

「中央タクシーの経営理念は「お客様が先、利益は後」です。
この「お客様」とは、
・自分以外のすべての方
・われわれの生活を支えてくださる方々
・われわれの足りない部分を教えてくださる人生の師
と定義しています。
また、利益については、
・利益の本質は革新料である
・利益はわが社の真心と力の限りを尽くして、お客様にお使いした結果ちょうだいする満足料である・利益は周到な計画と強固な意志によって拡大する
・利益はわが社に集うすべて人々、そしてわが社をとりまくすべての人々にとって福祉の源泉である・利益はわが社の将来に向かってますます拡大発展し、しかもその道程で遭遇するリスクを克服する為の原資である。
と、定義しています。」

日本レーザー(東京都新宿区)

レーザー関連機器の技術商社です。
親会社の経営方針に左右されないよう、MEBOを実施し、社員と家族を守る経営を貫いています。

「子会社でやっている限り、わたしの目指す理念も、組織作りも残念ながらできません。世のため人のため貢献しようとしても、親会社の利益が最優先になるからです。わたしは会社をつくる最大の目的、唯一の目的は、親会社の利益ではなく、「雇用すること」につきると考えているのです」

「社員が成長しないと会社の業績も高くならないため、社員が成長するようなしくみをつくる。成長に見合った仕事の与え方をし、最後は、社員がそこに満足を感じる−。それが近藤さんの言う、「社員の成長が企業の成長」なのです。」

「会社は誰のものか?ー日本レーザーではその答えは明白です。それは社員のものであり、お客様のものであります」

会社の役目は働く喜びを提供すること

人はだれでも、誰かの役に立ちたいと願って生きています。
誰かの役に立っているのかが、確認できないままに生きると不安になり、自分自身の存在価値を疑いはじめるのです。
「日本でいちばん大切にしたい会社」に登場する会社は、働き手が、自分自身が役に立っていることを実感できる環境を与えています。
20世紀型の会社は、経済的な成長を与えるのが役目でした。21世紀型の会社は、精神的な成長を与えるのが役目なのです。

目次

  • はじめに
  • プロローグ 心を打たれた三通のメール
  • 大切にしたい会社1 徳武産業株式会社(香川県さぬき市) 高齢者の方々の無数の「ありがとう」をいただく奇跡の靴メーカー
  • 大切にしたい会社2 中央タクシー株式会社(長野県長野市) 理想を求めて「しあわせを乗せる」タクシー会社をつくりあげる
  • 大切にしたい会社3 株式会社日本レーザー(東京都新宿区) MEBOで親会社から完全独立。会社の理想は「すべては社員のために」
  • 大切にしたい会社4 株式会社ラグーナ出版(鹿児島県鹿児島市) 精神障がい者の方々と働く場との「つながり」をつくる
  • 大切にしたい会社5 株式会社大谷(新潟県新潟市障がい者の雇用に力を注ぐ、日本でいちばん大きなはんこ屋さん
  • 大切にしたい会社6 島根電工株式会社(島根県松江市) 社員、地域、お客さまにやさしい会社は不況下でも高成長
  • 大切にしたい会社7 株式会社清月記(宮城県仙台市東日本大震災――ご遺体の仮埋葬・掘り起こしで人間の尊厳を守りぬいた葬儀社