10年後に食える仕事、食えない仕事/渡邉正裕

最近テレビを見ていると、両親のどちらかが外国人である子供たちの活躍が増えていることに気がつきます。
特に芸能界、スポーツ界は、顕著にその数が増加してます。
わたしの周辺を見ても、子供の同級生にカタカナの名前を持つ子がいたり、取引先の担当者が外国だということも珍しくなくなりました。

逆に海外に活動の場を求める日本人も増加しています。
スポーツ界では、海外チームへの移籍が当たり前に増えていますし、海外チームでエース級の活躍する選手も多くなりました。
物品だけではなく、人間の国際化も今では当たり前です。

私たちの日常生活は、当たり前に国際化が進みました。好む好まざるかかわらず、これからも日常生活の国際化はさらに進んでいくのです。
日常生活の国際化は、私たちの労働環境も確実を塗り替えていきます。
昨今の大企業は、日本人の採用より、外国人の採用人数の方が多いというトレンドも理解しておかなければなりません。
日本企業の主要マーケットは、縮小する日本から拡大するアジアへとシフトしていきます。
これら企業で働くスタッフは、もう日本人である必要はありません。

「10年後に食える仕事、食えない仕事」は、これから日本に起こるであろう日本の労働環境の変化を説き、日本人がこれから就業するべき職種を考察します。

書籍のポイント

新しい時代の職業マップ

これからの職業は以下の4つに分類される。

(1)重力の世界

    • グローバルの最低給与水準に収斂(しゅうれん)される
    • 平均賃金が日本の20分の1のインド人、中国人との勝負
    • 無限大の人材供給
    • プログラマ、メーカー開発者、コールセンタースタッフ、タクシードライバー、警備員

(2)無国籍ジャングル

(3)ジャパンプレミアム

    • 日本人ならではのサービスマインド、職人気質、チームワークスピリット
    • 「同じ日本人」という信頼感を活用した対面サービス
    • 住宅営業、公務員、美容師、日本料理人、保険セールス、海外の法人企業営業

(4)グローカル

    • 日本人の強みを活かしつつ、高付加価値スキルで勝負
    • 日本市場向けの河渡専門知識
    • 高度な日本語、日本の人的ネットワーク
    • 医師、政治家、マーケッター、税理士、弁護士、記者、コンサルタント、SE

上記の職業をマッピングすると以下のようになる。縦軸が業務の特殊性で、縦軸が日本人メリットがあるか。

知的集約的
 ↑    (2) | (4)
     ーーーーー+ーーーーー
 ↓    (1) | (3)
技能集約的 
    小 ← 日本人メリット→ 大

※今後10年で、日本の就業者の70%以上は(1)「重力の世界」に属することになる。

時計回りの雇用

グローバル化が進んだ現在では、
(2)無国籍ジャングル(発明)→(4)グローカル(マーケティング、開発)→(3)ジャパンプレミアム(生産)→(1)重力の世界(汎用品生産)という時計回りのサイクルが進む。

生かすべき5つの日本人メリット

これからは、就業する職種を考えるとき、その職種に日本人メリットがあるかどうかを真剣に考慮する必要がある。

  1. 独自カルチャー依存
    • 日本で生まれ育ち、その生活の中で染みついた生活感、価値観、文化
  2. チームワーク&サービス
    • 日本人独特の「和」の精神や「おもてなし」の精神
    • 礼儀正しさ、親切さ、丁寧さ
  3. 信用&コミュニケーション
    • 同じ日本人であるという信頼感、連帯感
  4. ハイレベルな日本語
    • 細かなニュアンスの伝達
    • その場の空気感の共有
  5. 国による参入規制
    • 日本人でないとなれない職種(公務員や政治家など)

これらのメリットは日本人として生まれ育たないと、享受することは困難。これらメリットが生かされる職種は、国際化の波にさらされることはない。

国ですべきこと(政策)

(1)「無国籍ジャングル」人材の優遇

    • 国が優れた研究活動のジャマをしない(むしろ税制優遇する)
    • 優秀な外国人の積極的受け入れ
    • 具体的には、研究開発投資減税の恒久化、企業内開発者の「業務発明」に有利な条件を与える法律の制定

(2)経済的規制の撤廃

    • 規制の撤廃による民間ノウハウの幅広い展開
    • 個人金融資産1400兆円は無駄に使われている。(国債、ばらまき)これをベンチャーに貸し付けたいが企業、起業者に対するチャンスが少ないため、借り入れ需要が生まれない

(3)「負の雇用貢献税」導入

    • 生産を海外に移さずに国内生産する企業に対し税の優遇措置を与える

(4)単純労働者受け入れ禁止

    • 拙速に「①重力の世界」の労働者を海外から受け入れない。ぎりぎりまで国内でまかなう

(5)「負の所得税」導入

    • 所得の少ない労働者には「府の税金(補助金)」を与える

で、感想なぞ

日常生活の国際化が本格化し始めたのは、この10年くらいです。たった、10年という期間ですが、またたく間に私たちの周辺は国際化しました。
これからの10年は、さらに国際化が進みます。
昨年、TPPへの加盟が大きな話題になりました。わたし自身は、日本が経済的に浮上していくために自由貿易は必須だと考えています。
自由貿易が活性化すると、次に考える必要があるのが労働市場の自由化です。
TPPはETA経済連携協定)の多国間版です。これは自由貿易が主な条約です。
EPA経済連携協定)では自由貿易に追加して、人的資源の移動や資金の投資などが含まれた条約になります。
今後は、EPAの締結や実運用が進めば、外国人労働者は確実に増加します。
現在、日本がEPAを締結した国はシンガポール、マレーシア、インド、チリ、タイ、インドネシアベトナム、フィリピンなどアジア諸国を中心に13カ国です。
交渉中は、韓国、モンゴル、カナダ、EUなど。

私たち日本人がどんなに抵抗しても、国際化の波はどんどん進みます。これを拒否すれば、日本は今以上の不況に悩まされることは必至です。
私たちの競争相手は誰なのか?彼らと競合しない分野は何か?競合するのなら何を武器に戦うのか?
こうした問題を一人ひとりの日本人が理解して、次の世代を育てていくとことが、日本人に課せられた課題です。
ただただ、あらがうのではなく、しっかりと現在を見つめ、未来を見通す目がとても重要です。