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グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ/デイヴィッド・ミーアマン・スコット

インバウンド・マーケティング」のブライアン・ハリガンとネットマーケッターのデイヴィッド・ミーアマン・スコット共著です。
両著者の共通点は「グレイトフル・デッド」の熱狂的なファンであること。
本書は、熱狂的なグレイトフル・デッドのファンである著者がグレイトフル・デッドから学んだマーケット手法です。
世間の一般手法に流されずに、自分たちのスタイルに合ったビジネスを構築する大切さを学ぶことができます。

グレイトフル・デッドは、1965年代に結成されたロックバンドで、リーダーのジェリー・ガルシアが亡くなる1995年まで積極的なライブ活動を行っていました。
1995年以降も「ザ・デッド」というバンド名で活動しています。
わたし自身も一時期、よく聞いていました。音楽性は、ブルースロックといった感じであまりハードな曲はなかった印象です。
個人的な印象ですが、ジミ・ヘンドリックスやクリームに近い音楽性かなぁと、、、

20世紀の音楽市場はレコード売上至上主義で、とにかく1枚でも多くのレコードを売るというビジネスモデルでした。
レコード売上至上主義のマーケットで「グレイトフル・デッド」は、大変にユニークなビジネスモデルを構築して、従来のマーケットとは一線を画して活動していたのです。

本書は、そんなグレイトフル・デッドの行っていたマーケティング手法について学ぶことが可能です。

本書のポイント

グレイトフル・デッドのビジネスモデルは、ライブの収益に重点を置くことでした。
この時代のライブは、レコードを売るためのプロモーションという位置付けです。新しいアルバムが発売されると大々的なツアーを行うというのが一般的なアーチストの活動スタイルでした。
それに対して、グレイトフル・デッドの収益モデルは数多くのライブを実施し、ひとりでも多くの聴衆を集めることです。
多くの聴衆を集めるために、グレイトフル・デッドはファンにライブでの撮影や録音を許可し、それらを第三者に配布することを許したのです。
本書では21項目のポイントが記載されていますが、大別すると「商品開発」、「マーケティング」、「組織」、「流通」というジャンルに分類できます。
以下に、それそれのジャンルの特徴的な項目を記載します。

商品開発
  • 「実験」を繰り返す
    • グレイトフル・デッドは、グループとしても個人としてもいろんな音楽の形式とジャンルに挑み、ユニークなライブを生み出した。
    • グレイトフル・デッドは、リスクを取り、新しいことに挑み、失敗と成功から学び、前進し続けることを教えてくれる。
  • 新しい技術を取り入れよう
    • ライブで技術を活用したためにグレイトフル・デッドはさらにクリエイティブになり、最も成功したツアーバンドになった。
    • グレイトフル・デッドは、テクノロジーを組み込むことでクリエイティブなプロセスが促進され、最高レベルの成功をもたらしてくれることを教えてくれる。
マーケティング
  • コンテンツを無料で提供しよう
    • ファンにライブの録音を許したことが、グレイトフル・デッドの音楽に人々が触れる機会を増やし、新たなファンの獲得と売上の増加につながった。
    • グレイトフル・デッドは、コンテンツを無料で開放すると、より多くの人々が自社について耳にするようになり、結果的に取引してくれるようになると教えてくれる。
  • ブランドの管理をゆるくしよう
  • 忘れられない名前を付けよう
    • 「大好き」。「大嫌い」、「意味がわからない」・・・・・どう思われるにせよ、グレイトフル・デッドは人が覚える名前だ。
    • グレイトフル・デッドのように個性的で忘れられない名前は、成功をもたらす。
    • グレイトフル・デッドは、ブランドの「個性」を表現すれば、見た目が多少違っていても、ファンは気づいてくれることを教えてくれる。
  • フリーから有料のプレミアムへアップグレードしてもらおう
    • グレイトフル・デッドは、ファンがライブをただで録音するのを奨励していたが、より品質の高いものを求める人のために、自分たちが録音したものを直接販売している。
    • グレイトフル・デッドは、最も情熱的なファンは最高の品質を得るために、プレミアム価格を払うことを教えてくれる。
組織
  • 自分が本当に好きなことをやろう
    • グレイトフル・デッドは、自分たちがやっていたことが本当に好きだったの出それをやり通した。そしてもちろん、結果的に成功した。
    • グレイトフル・デッドは、他人の夢ではなく、自分自身の夢を生きることを教えてくれる。
  • ユニークなビジネスモデルを作ろう
    • グレイトフル・デッドは、当時活躍していたすべてのほかのロックバンドと正反対のやり方で利益を上げた。
    • グレイトフル・デッドは、ビジネスモデルの革新が、製品の革新と同じかそれ以上に重要であることを教えてくれる。
  • バラエティーに富んだチームを作ろう
    • グレイトフル・デッドは、バラエティに富んだスキルを組み合わせた相乗効果で、前代未聞の1+1=3のサウンドを作り上げた。
    • 自分たちが専門としている分野や、なじみのある分野以外から、能力のある人を連れてくることが重要である。
流通
  • 最前列の席はファンにあげよう
    • グレイトフル・デッドは、ツアーの情報をファンに真っ先に知らせ、最もよい場所を取れるように氏、氏の忠誠心を駆り立てた。
    • 配慮と敬意を持って顧客や消費者に接することこそ、情熱的なファン層を築く秘訣だ。
  • 中間業者を排除しよう
  • 起業家と手を組もう
    • グレイトフル・デッドは、自分たちのロゴを付けた商品を売る行商人に「ノー」と言うのではなく、使用を許可した。
    • 自社のブランドを使って収入を得たい個人事業者は新興企業がいたら、探し出して提携してみよう。

感想

インターネットの世界では「フリー」という文化は一般的な概念になりました。
フリーでプロダクトを提供するというスタイルでグレイトフル・デッドは、フリーマーケティングの先駆者です。
しかし、彼らは戦略的にフリーマーケティングを行っていたわけではありません。
自分たちの音楽を多くに人に聴いてもらいたいという思いが、ユニークなマーケティング手法を生み出したのです。
多くの人に聞いてもらうには?多くに人にライブに来てもらうには?という問いを繰り返していくいく過程の中で生まれたマーケティング手法なのです。
「はじめに顧客ありき」だったのです。
ビジネスモデルから顧客を創造するのではなく、求める顧客の姿からビジネスモデルを構築するということが重要なのです。