ザッポス(zappos)とは人生を具現化した企業なり/ザッポス伝説

ザッポス伝説は、ザッポスのCEOトニーが自身の生い立ちやザッポスのストーリーを綴った自叙伝的な書籍です。
トニーが何を求めて、何を目指してザッポスを育てていったのか、ザッポスに対する熱い魂を込められています。

これから、起業を考えている方には、是非とも読んでいただきたい一冊です。私も本当に魂が揺さぶられました。

ぜひともこれは、伝えなきゃということで、ザッポス伝説の内容からザッポスとは何かを以下にまとめてみました。

ザッポスとは

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    • 1999年創業のアパレル、フットウェアのネットショップ
    • 送料無料と365日まで返品が無料
    • 企業文化に特徴
    • カスタマーサポートに様々な伝説
    • 2009年に売り上げが10億ドルを突破
    • 2009年にアマゾンによる買収
    • 社員数1400人
    • 本社はラスベガス

ザッポス成長の軌跡

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1999年 ニック・スイーマンがshoesite.comとしてスタート
1999年 shoesite.comからザッポス(zappos)に改名
1999年 トニーのベンチャー・フロッグスがザッポスに出資
2000年 トニーがザッポスの経営に参画
2000年 売上高160万ドル
2001年 ビジネスモデルをドロップシッピングから実在庫モデルに変更
2001年 ケンタッキーに在庫用の倉庫を賃貸
2001年 売上高860万ドル
2002年 2010年までの売り上げ目標を10億万ドルに設定
2002年 売上高3200万ドル
2003年 ウェルズ・ファーゴより600万ドルの融資を受ける
2003年 カスタマー・サービスをザッポスの中心に据える
2003年 売上高7000万ドル
2004年 本社をサンフランシスコからラスベガスに移転
2004年 ザッポスの企業文化を定義したザッポス・カルチャー・ブックを発行
2004年 売上高1億8400万ドル
2005年 売上高3億7000万ドル
2006年 売上高5億9700万ドル
2007年 10の企業信条からなるコア・バリューを制定
2007年 売上高8億4000万ドル
2008年 全社員の8%をレイオフ
2008年 売上高10億ドル
2009年 フォーブス誌「最も働きがいのある会社」のリスト入り
2009年 株式交換(約8億ドル)によるアマゾンの子会社化(経営陣は全員留任)

成長を決定づけた7つのポイント

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今では、従業員1400人の大企業となったザッポスも1999年の創業当時はトニー自身も成功することを心から信じていませんでした。
本書の中から、ザッポスが成功企業となった(と私が思う)7つのキーポイントをピックアップしました。

そもそもトニー・シェイはザッポスの出資者

トニー・シェイはザッポスの創業者ではありません。トニーとザッポスは出資者と出資企業の関係でした。
トニーは24歳の時、リンクエ・クスチェンジというネットの広告サービスをマイクロソフトに売却します。その資金を元手にベンチャー・フロッグズというアーリー・ステージ専門のベンチャー・キャピタルを創立します。
ザッポスはベンチャーフロッグが投資したベンチャー企業のひとつに過ぎませんでした。ザッポスは、その後、中堅のベンチャーキャピタルから出資を受けることができずに経営難に陥ります。
見かねたトニーは自らザッポスの経営に参画し、自らの財産までも窮地に陥ったザッポスに提供したのです。

最初のビジネスモデルはドロップシッピング

当初のザッポスが行っていたビジネスモデルは、ネットショップで靴が売れると近所の靴屋の同じ商品を買いに行き、お客に送付するというとても原始的なものでした。
販売量の増加に伴い、ドロップシッピングを行ってくれる業者と販売協力を得ていきましたが、大変に利益の薄い商いでした。
自社で在庫を持つことで、売り上げが3倍になるとの試算を得たトニーは財務的な難問を抱えつつも自社で在庫を持つ決心をしたのです。

コアコンピテンシーは自社でやる

創業からしばらくの間、倉庫業務は他社にアウトソーシングしていました。
しかし、ミスやトラブルが多く発生しザッポス自身で問題をコントロールできないととにトニーは悩んでいました。
アウトソーサーの行為でもザッポスの評価は低下します。
コアコンピテンシーを成すサービスは、自社内で行わなければ顧客から正しい評価を得ることができません。
アウトソーサーとの契約や新しいシステムの導入に伴うトラブルに追われながらも、倉庫業務を完全なものにしていったのです。
倉庫の立ち上げの責任者はスタートから2年もの間、ホテル暮らしで立ち上げ作業にあたりました。

本社の移転

売り上げの拡大に伴い、カスタマー・サービス要員の確保に苦労していました。
当時ザッポスのあったサンフランシスコではカスタマー・サービスの職に就きたがる人が少なかったのです。
サテライトにカスタマー・サポート部門を作成することもできたのですが、全社を挙げてカスタマー・サポートにあたるべきだとトニーは考えました。
新しくカスタマー・サポートの拠点としたラスベガスに移転するのは、カスタマー・サポート部隊だけでなく全社全員と決定します。
このときの社員数は90名。ラスベガスについて行った社員は70名でした。半数以上の社員が去ることを覚悟してたトニーは本当に喜びました。

フォーブス誌の最も働きがいのある会社にランキング

ラスベガスはカジノ以外は何もないと言っても良いくらいの田舎です。
社員の多くは新しい土地に友人がいるわけではありません。ザッポスの社員以外に頼る人がいないのです。
トニーはザッポスで働くスタッフが目標や誇りを持ち、毎日を幸せに働くにはどうしたらよいかを考えるようになります。
そして、スタッフ一人一人にザッポスの文化とは何かを問うアンケートを実施します。
アンケートの結果は、ザッポス・カルチャー・ブックという本にまとめスタッフや取引先に配りました。
ザッポスは、常にスタッフが働きやすい環境を構築することに努めています。また、社員一人一人に考えられる最大限の裁量も与えています。
このようなことが評価され、2009年のフォーブス誌の「最も働きがいのある会社」の23位にランキングされました。(2010年は15位)

コアバリューの確立

ザッポスは企業文化こそが最大のブランドであると考えています。
企業文化さえキチンと設定できていれば、最高のカスタマー・サポートや素晴らしい社員の育成、長期に渡るブランドの構築も可能であると。
ザッポスは2007年に1年以上の歳月をかけ、社員と企業文化や企業価値を共有する10項目からなるコア・バリューを制定します。

    • サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける - Deliver WOW Through Service
    • 変化を受け入れ、変化を推進する - Embrace and Drive Change
    • 楽しさとちょっと変なものを想像する - Create Fun and A Little Weirdness
    • 冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ - Be Adventurous, Creative, and Open-Minded
    • 成長と学びを追求する - Pursue Growth and Learning
    • コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く - Build Open and Honest Relationships With Communication
    • ポジティブなチームとファミリー精神を築く - Build a Positive Team and Family Spirit
    • より少ないものからより多くの成果を - Do More With Less
    • 情熱と強い意志を持て - Be Passionate and Determined
    • 謙虚であれ - Be Humble

トニーは毎週一つだけコア・バリューを反映するよう改善することをスタッフに求めています。
短期的には損失を出しても、長期的には大きな利益を生み出す元がコア・バリューなのです。

アマゾンの傘下へ

売り上げが拡大して行くにつれ、トニーたち経営陣と出資者であるベンチャー・キャピタルとの間に不協和音が生まれていくようになりました。
利益の拡大を迫るベンチャー・キャピタルとコア・バリューの信念の元での会社運営を徹底したいトニーたち経営陣。
取締役会ではいつも重苦しい空気が部屋を包み込みました。
ベンチャー・キャピタルとの軋轢を解消するため、トニーは2009年にアマゾンと買収交渉のテーブルに着きます。
ザッポス側のリクエストは以下の通りでした。

    • 株式交換による100%買収
    • 主要役員の残留(トニー、アルフレッド、フレッド)
    • 企業文化の継続

リクエストは受け入れられ、ザッポスは約800億円でアマゾンの傘下に入ったのです。
これは、トニーやザッポスのオリジナルメンバーがザッポスがザッポスでいるために選んだ最高で最大の方法でした。

カスタマーサポートの伝説

    • 母の死亡のため、母用のプレゼントに購入した靴の返品を申し出た顧客に対し、すぐさま返品を取りに伺い、哀悼の花束をプレゼントした
    • いたずらでピザの注文をしたお客に対し、近所のピザ屋を数軒調べて教えた
    • 在庫がない商品を購入できる他のネットショップを調べて教えた

などなどたくさん。

ワオ!は今も続く

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2011年の現在もザッポスは成長を続けています。
社員にワオ!を与え、顧客にワオ!を与える。ワオ!とは期待以上のものを得たときに思わず口走る言葉です。
ワオ!を発した社員はいっそう会社が好きになり、ワオ!を発した顧客はいっそうザッポスのファンになります。
Delivering Happiness.(ザッポス伝説の原題)
必要以上に相手のことを考える姿勢が、周りの人を幸せにし、自分自身が幸せになれる原点なのです。

ザッポスがわかる動画をふたつ


ザッポスのコア・バリューの紹介

メモリアル・デイのスタッフのコメント。ザッポスの社内の雰囲気がよくわかります。最後のラップが素敵!

感想

顧客満足が先か、従業員満足が先か。それとも、、、
あなたは、会社が知らない土地に本社移転するといったら、一緒について行きますか?
会社とは大きな家族で、社会貢献を成す組織なのです。そして働くことは、人生における手段ではなく、目的でなければなりません。
ザッポスに高度成長期の日本企業をダブらせてしまうのは、私だけではないはずです。ザッポスの成功は、日本が再生する一つのヒントになるのではないのでしょうか。

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

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